成瀬は天下を取りにいく 感想レビュー|本屋大賞2024受賞、令和最強キャラの清々しさ

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成瀬は天下を取りにいく 感想レビュー|本屋大賞2024受賞、令和最強キャラの清々しさ

本屋大賞を受賞した作品をすべて読んでいるわけではないけれど、今年は「これは確かに受賞する」と思いました——読み終えた瞬間に。

この本を手に取ったのは、「本屋大賞だから」というよりも、帯に書かれた一行が気になったからです。「わたしは西武大津店とともに死ぬ」——その宣言に、何か普通ではないものを感じましたね。

読み始めて数ページで確信しまして、これがよかった。成瀬あかりは、私がこれまで出会ってきたどの主人公とも違う。令和にしか生まれ得ないキャラクターがここにいる、と。

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目次

この記事でわかること

  • 成瀬あかりとはどんな人物で、なぜこれほど多くの読者を魅了するのか
  • 本屋大賞2024受賞の背景——書店員たちが選んだ理由
  • 滋賀・大津という舞台がどのように物語に機能しているか
  • 続編『成瀬は信じた道をいく』との読む順番と楽しみ方のガイド

作品基本情報

項目内容
タイトル成瀬は天下を取りにいく
著者宮島未奈
出版社新潮社
ジャンル青春小説・日常・女子高生
受賞歴本屋大賞2024受賞、書店員の投票で選ばれた「最も売りたい本」
舞台滋賀県大津市(琵琶湖沿岸、西武大津店など実在の場所が登場)
著者初単行本作本作が宮島未奈のデビュー単行本にあたる
続編成瀬は信じた道をいく(同じく新潮社)

宮島未奈という作家について

宮島未奈は、本作がデビュー単行本かもしれません。つまり、作家として世に出た第一作が本屋大賞を受賞したという、ほとんど前例のない華々しいスタートを切りましたよね。これほど鮮烈なデビューはそうそうありませんよね。

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成瀬という存在が眩しかった。自分の軸がぶれない人間がここまで魅力的に描けるんだ、と気づかせてくれた作品です。

本屋大賞とは、書店員が「自分の書店で一番売りたい本」として投票して決まる賞です。芥川賞や直木賞と異なり、「文壇の評価」ではなく「実際に本を売っている現場の人間が本当に面白いと思った本」が選ばれますよね。

つまり本屋大賞の受賞は「多くの書店員が、この本を誰かに手渡したい、読んでほしいと思った」という証明ですよね?それがデビュー作で達成されたことの意味は大きい。

エンが選ぶ見どころ3選

① 成瀬あかりというキャラクターの唯一無二さ

「わたしは西武大津店とともに死ぬ」という宣言から始まる成瀬の行動力は、最後まで一切ブレませんよね。閉店が決まった百貨店に毎日通い続け、ローカルテレビのリポーターに応募し、M-1に出ようとする。

このリストを並べると「変わった子」という印象になるかもしれませんが、読んでいると不思議とそう感じないのではないでしょうか。

成瀬の魅力は「周囲の目を気にしない強さ」ではありませんよね。正確には「そもそも周囲の目という概念が成瀬の頭の中に存在しない」という天然の自由さだと思います。

彼女の行動原理は常に「自分がやりたいから」の一点。恥ずかしいとか、浮いているとか、そういう概念が最初から回路に入っていない。

だから読んでいて気持ちがいい。息苦しい「周りの目」から解放される感覚がありまして。私が印象的だったのは、成瀬が親友の島崎みゆきに「わたしはこれをやる」と宣言するシーンでなんではないでしょうか。

弁解もなく、言い訳もなく、ただ宣言する。あの清々しさは忘れられませんよね。

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成瀬みたいに生きられたら、どれだけ楽だろう。あの清々しさは本物だった。読み終えて、少し前向きになれた気がした。

② 滋賀・大津という舞台の愛し方

この小説は徹底的に「滋賀」の物語です。琵琶湖、西武大津店、近江牛、膳所(ぜぜ)という地名——これらが物語の背景として機能しているだけでなく、作品の感情そのものに組み込まれているのですよね。

とりわけ西武大津店の閉店という実際の出来事を物語の核に据えたことで、この小説は「地方が抱える喪失感」を丁寧に描くことに成功しているなのです。

地方都市を舞台にした物語は、ともすれば「都会への憧れ」か「地元を出られない悲哀」のどちらかに傾きがちだと思います。

しかしこの小説は違います、これが。

滋賀という土地を卑下せず、誇りをもって描く。成瀬は東京に出ていきたいとは思っていない。

この場所で天下を取ろうとしている。

その姿勢が「地方に住む読者」にとって特別なリアリティを持つのだと思いまして。私は滋賀県民ではありませんが、読んでいて「大津に行きたい」と思いましたね。

それが作品の力だと思います。

③ 短編連作という構成の巧みさ

この小説は短編連作の形式を取っているのですよね。各話は独立した物語として完結していますが、通しで読むと成瀬あかりという人物への解像度が少しずつ上がっていく仕組みになっていますよね。

また語り手が話ごとに変わるため、成瀬を「外から見た人物」として多角的に描くことができているのです。

これは重要な構成上の選択で、もし一人称の成瀬視点のみで書かれていたら、成瀬の魅力はここまで伝わらなかったかもしれませんよね。

読者は成瀬の内面を直接知ることができないからこそ、成瀬の行動の意味を自分なりに解釈しながら読む楽しみがありますね。ある話では幼馴染の島崎が語り手になり、ある話では見知らぬ人物が成瀬を目撃します。

その積み重ねが「成瀬あかりとはこういう人間だ」という印象を厚くしていく。読み終わったとき、私は成瀬のことを実在の人物のように感じていたかも。

それほどに造形が立体的かもしれません。短編として各話をつまみ読みしても面白いですが、ぜひ最初から通しで読んでほしいと思いますね。

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短編連作なのに全話通して読むと成瀬への愛着が膨らんでいく。気づいたら「成瀬の次の話が読みたい」と思っていた。

こんな人におすすめ

  • 明るい読後感の青春小説を探している方:重苦しさがまったくなく、読み終えると気持ちが軽くなります
  • 個性的で強い主人公が好きな方:成瀬あかりは令和最強のキャラクターといっても過言ではありません
  • 滋賀・近江に縁がある、または旅行に興味がある方:聖地巡礼したくなること間違いなしです
  • 「本屋大賞ってどれも同じ感じでしょ」と思っている方:良い意味で期待を裏切られます

合わない可能性がある人

  • 複雑なプロットや謎解きを求めている方:この小説は事件も大きな展開もありません。日常の積み重ねを楽しむ作品なので、ストーリー重視の方には物足りなく感じるかもしれません
  • 主人公に共感できることを重視している方:成瀬の考え方や行動は非常に特異で、「わかる」というより「理解不能だけど面白い」という読み方になります。感情移入型の読書スタイルの方には少し距離感があるかもしれません

続編『成瀬は信じた道をいく』との読み順ガイド

続編『成瀬は信じた道をいく』は、本作の成功を受けて書かれた作品です。読む順番は必ず本作から始めてください。

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読み終えると独特の清々しさが残るんですよね。成瀬に「感染」して、自分も何かやってやろうという気持ちになれる。

続編は本作のキャラクターたちへの愛着がある前提で書かれており、成瀬や島崎みゆきに対する感情が積み上がっていないと、続編の感動が半減します。

本作を読み終えて「もっと成瀬に会いたい」と思ったタイミングで続編を手に取るのが理想ですよね。続編では成瀬の高校卒業後の展開が描かれており、成長した成瀬の姿を見られます。

シリーズを通して「成瀬という人間の一生」を追いかけていく読み方ができるのが、このシリーズの大きな魅力ではないでしょうか。

似た作品との比較

作品 共通する魅力 成瀬との違い・使い分け
漫画『ちひろさん』(安田弘之) 周囲の目を気にしない自由な女性主人公、日常の中の人間観察、読後感の爽やかさ ちひろさんは大人の視点から社会の縁辺を描く作品。成瀬は高校生という若さと地方都市という舞台の組み合わせが独自。どちらも「こういう人が実在したら面白い」と感じさせる造形の力がある
小説『響け!ユーフォニアム』(武田綾乃) 滋賀県宇治市(北宇治)という関西の地方都市を舞台にした青春物語、地域への愛着描写 ユーフォニアムは吹奏楽という明確な目標に向かう葛藤と成長の物語。成瀬は目標の種類が毎話変わる点が対照的で、より「日常の延長線上にある青春」に近い
漫画『まちカドまぞく』(伊藤いづも) 地方の日常を舞台にしたコメディ的な雰囲気、キャラクターの個性が強くてそこが魅力の中心 まちカドまぞくはファンタジー設定のギャグ作品。成瀬はリアル日常の中に強烈なキャラクターを置いた作品で、フィクションの濃度が異なる。どちらも「主人公のキャラを愛でる」読み方ができる
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気分が落ちているときに読んでほしい一冊。成瀬あかりが変わらず前を向いているから、読んだ後に自分も少し前を向ける。

まとめ

『成瀬は天下を取りにいく』は、2024年に最も多くの読者を笑顔にした小説のひとつだと思いまして。

成瀬あかりというキャラクターの存在が、物語全体の推進力になっており、滋賀・大津という舞台への愛情、短編連作という構成の妙が合わさって、読み終えると独特の清々しさが残ります。

作品に触れてきた私が「気分が落ちているときに読む一冊」として最もよく人に勧める作品です。どんな気分のときに読んでも、成瀬あかりは変わらず前を向いているのですよね。それが読者にとって一種の励ましになりますよね。

まだ読んでいない方には、ぜひ手に取っていただきたい一冊だと思います。


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シリーズ購入特典情報

成瀬あかりシリーズの購入特典情報です。

作品特典内容備考
成瀬は都を駆け抜ける(第3作・2024年12月発売)書店限定特典しおり(全5種+シークレット1種 ランダム配布)京都・滋賀の書店中心に実施(作中の舞台と連動)新潮社公式PRtimes確認済み
成瀬は都を駆け抜けるクリスマス限定カバー仕様(期間限定)

※配布は終了している可能性があります。出典:新潮社 PRtimes・新潮社公式サイト

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この記事を書いた人

こんにちは!「エンタメカフェ」を運営している「エン」です。

物語の世界に触れるたびに、新しい視点や感動が生まれる——そんな体験を多くの人と共有したいという想いから、このサイトを立ち上げました。

私は小説、映画、アニメ、漫画、DVDなど、多様なメディアを通じて物語に触れるのが大好きで、年間200以上の作品を鑑賞・読了しています。

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