すずめの戸締まり 感想レビュー|東日本大震災の記憶を旅する、新海誠の集大成

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「君の名は。」「天気の子」と同じ監督の作品——でもこの映画だけが持っている「重さ」がありますよね。観終わった後に、自分でも気づかなかった感情が出てきた。

その正体を少し書きます。

目次

この記事でわかること

  • すずめの戸締まりのストーリー骨格と「後ろ戸」設定の意味
  • 新海誠がこの作品で初めて正面から向き合ったテーマ
  • RADWIMPSと十明による主題歌の役割

作品基本情報

タイトルすずめの戸締まり
ジャンルロードムービー/ファンタジー
公開2022年11月11日
監督・脚本新海誠
制作コミックスウェーブフィルム
主な声優原菜乃華(すずめ)、松村北斗(草太)、深津絵里(環)
主題歌RADWIMPS feat. 十明「すずめ」
国内興収148.8億円

見どころ3選

1. 日本縦断ロードムービーとしての疾走感

すずめは九州・宮崎から始まり、四国・兵庫・東京を経て東北へ向かいます。

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廃墟を旅しながら東日本大震災の記憶と向き合う物語——新海誠がここまで踏み込んで描くとは思っていませんでした。

行く先々で「後ろ戸」を閉じるという使命を果たしながら、出会う人々と短い時間を共有して先へ進む構造は、旅の一期一会の切なさをリアルに体感させます。

日本の風景を舞台にしながら普遍的な「旅」の物語になっています。

2. 「後ろ戸」と常世——和のファンタジー設定の深度

「後ろ戸」は廃墟に開く異界への扉、「常世」はあの世と繋がった空間として設定されていますよね。

日本各地の廃墟・廃校・廃遊園地という現実の風景とファンタジー設定が重なることで、高度経済成長期に栄えた場所の「忘れられた記憶」というテーマが浮かび上がります。

これが東日本大震災の記憶と静かに結びついていきますよね。

3. RADWIMPSと十明——主題歌が物語を完成させる構造

新海誠×RADWIMPSのコンビは「君の名は。」から続きますが、本作では新たに十明(とあか)というシンガーの声が加わりまました。

エンディングで流れる「すずめ」は、映画の旅の感情をそのまま音楽に変換したような完成度で、映像と切り離せない作品になっています。

ロケ地・制作裏話

すずめが旅するルートは実在の場所を詳細に参照しており、宮崎の廃校・愛媛の海沿い・神戸の街並み・東京のターミナル駅周辺・岩手の沿岸部がモデルになっています。声優起用では、主演の原菜乃華と松村北斗(SixTONES)がともに声優経験なしからの起用となりましたが、アフレコの自然な演技が高く評価されました。新海誠監督は「この映画は東日本大震災を忘れないための映画ではなく、生き続けることを肯定する映画にしたかった」とインタビューで語っています。

こんな人におすすめ

  • 新海誠作品を全作観ていて集大成を体感したい方
  • 東日本大震災に何らかの関わりがある方(過度な悲劇描写はありません)
  • 旅と出会いをテーマにした映画が好きな方

似た作品との比較

「君の名は。」が時間、「天気の子」が天候をモチーフにしたのに対し、本作は「場所の記憶」を軸にしています。3作の中で最もロードムービー的な疾走感があり、感情的な後半の展開は「天気の子」以上に泣ける構造になっています。

「扉を閉める」という行為が持つ意味

「すずめの戸締まり」の中心的なモチーフは「古い扉を閉めること」です。過去に人が住んでいた、今は廃墟になった場所にある扉を閉めて回るという行為。

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「戸締まり」という行為の意味が、観終わってから変わりました。悲しみを閉じることと、向き合うことの違い——そこを描いた映画です。

これは物語上の設定ですが、「過去の記憶に蓋をする」「ここに人が生きていたことを認める」という意味を同時に持っているのです。

東日本大震災の被災地を経由するという設定は、この「閉める」という行為に特別な重さを与えますよ。過度に悲劇を強調した描き方はされていませんが、知っている人にとっては「ここか」と気づく場面がありますよね。

新海誠が「エンターテインメントと追悼を同居させる」という難題に挑んだ作品です。

「旅」としての体験

すずめの戸締まりは日本縦断ロードムービーですよ。九州から始まり、四国、関西、東京、東北へと移動する。各地の風景・文化・空気が丁寧に描かれており、「旅番組を見ている」ような気持ちになる場面がありますよね。

新海誠の美術チームが描く「現実の日本の風景」は、アニメの中でも実写に近いリアリティがあります。特に廃墟の美しさと不気味さの同居する描き方は、この作品ならではです。

「日本各地の風景を美しく見たい」という動機だけでも観る価値がありますよ。

「椅子になった猫」という設定の意味

物語の中で草太(松村北斗)が椅子に変えられるという展開は、一見シュールですが、すずめとの関係を成立させるための仕掛けですよ。

「椅子である」ことで草太は移動できず、すずめが彼を運ぶという構図が生まれます。

「連れて行かれる側」と「連れていく側」の逆転が、二人の関係に新しい変化をもたらします。この「椅子」という選択が、すずめの行動力と成長の見せ方として機能しているのですよね。

「旅の途中で出会う人たち」が物語に与えるもの

すずめは一人旅ではなく、日本各地で様々な人たちに助けてもらいながら移動しますよね。短い時間しか一緒にいないのに、それぞれの「出会い」が記憶に残る設計になっています。

「通りすがりの人の親切」という体験が積み重なることで、すずめ自身が「一人ではないこと」を実感していく構造ですよ。旅映画として、この「出会いの積み重ね」が後半の感情的なクライマックスを支えていますよ。

まとめ

新海誠の過去作を踏まえた上で観ると、この作品が辿り着いた「生きることへの肯定」が鮮明に伝わります。映画を観た後は、日本のどこかの廃墟を思い浮かべたとき感覚が変わるはずです。他の映画作品はジャンルフィルターからどうぞ。

入場者特典情報(全4弾+前売り特典)

すずめの戸締まり(2022年11月公開)は充実した入場者特典が話題でした。

種別・弾内容配布開始・備考
入場者特典 第1弾「新海誠本」(映画制作資料・解説冊子)11月11日〜 300万部限定
入場者特典 第2弾「新海誠本2」12月3日〜 150万部限定
入場者特典 第3弾書き下ろし小説「すずめの戸締まり〜環さんのものがたり〜」(新海誠執筆)12月24日〜 150万部限定
入場者特典 第4弾書き下ろし小説「すずめの戸締まり〜芹澤のものがたり〜」(新海誠執筆)2023年1月28日〜
前売り限定(ローソン)「閉じ師の鍵」モチーフのキーケース+アクリルチャームセット

※特典は配布終了済み。出典:映画公式サイト・各メディア

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この記事を書いた人

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